2012年6月5日火曜日

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律,(旧)精神衛生法,精神保健法,(略)精神保健福祉法,精神保健精神障害者福祉法


 


第1条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

第2条 国及び地方公共団体は、障害者自立支援法の規定による自立支援給付及び地域生活支援事業と相まつて、医療施設及び教育施設を充実する等精神障害者の医療及び保護並びに保健及び福祉に関する施策を総合的に実施することによつて精神障害者が社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をすることができるように努力するとともに、精神保健に関する調査研究の推進及び知識の普及を図る等精神障害者の発生の予防その他国民の精神保健の向上のための施策を講じなければならない。

第3条 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

第4条 医療施設の設置者は、その施設を運営するに当たつては、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該施設において医療を受ける精神障害者が、障害者自立支援法第5条第1項に規定する障害福祉サービスに係る事業(以下「障害福祉サービス事業」という。)、同条第17項に規定する一般相談支援事業(以下「一般相談支援事業」という。)その他の精神障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、必要に応じ、これらの事業を行う者と連携を図るとともに、地域に即した創意と工夫を行い、及び地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならない。

 国、地方公共団体及び医療施設の設置者は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

第5条 この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

第6条 都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。

 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

1.精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。

2.精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。

3.精神医療審査会の事務を行うこと。

4.第45条第1項の申請に対する決定及び障害者自立支援法第52条第1項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

5.障害者自立支援法第22条第2項又は第51条の7第2項の規定により、市町村が同法第22条第1項又は第51条の7第1項の支給の要否の決定を行うに当たり意見を述べること。

6.障害者自立支援法第26条第1項又は第51条の11の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。

第7条 国は、都道府県が前条の施設を設置したときは、政令の定めるところにより、その設置に要する経費については2分の1、その運営に要する経費については3分の1を補助する。

第8条 この法律に定めるもののほか、精神保健福祉センターに関して必要な事項は、条例で定める。

第9条 精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項を調査審議させるため、都道府県は、条例で、精神保健福祉に関する審議会その他の合議制の機関(以下「地方精神保健福祉審議会」という。)を置くことができる。

 地方精神保健福祉審議会は、都道府県知事の諮問に答えるほか、精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項に関して都道府県知事に意見を具申することができる。

 前2項に定めるもののほか、地方精神保健福祉審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。

 

第10条及び第11条 削除

第12条 第38条の3第2項(同条第6項において準用する場合を含む。)及び第38条の5第2項の規定による審査を行わせるため、都道府県に、精神医療審査会を置く。
第13条 精神医療審査会の委員は、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(第18条第1項に規定する精神保健指定医である者に限る。)、法律に関し学識経験を有する者及びその他の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。

 

 委員の任期は、2年とする。

第14条 精神医療審査会は、その指名する委員5人をもつて構成する合議体で、審査の案件を取り扱う。

 合議体を構成する委員は、次の各号に掲げる者とし、その員数は、当該各号に定める員数以上とする。

1.精神障害者の医療に関し学識経験を有する者 2

2.法律に関し学識経験を有する者 1

3.その他の学識経験を有する者 1

第15条 この法律で定めるもののほか、精神医療審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

第16条及び第17条 削除

第1節 精神保健指定医

第18条 厚生労働大臣は、その申請に基づき、次に該当する医師のうち第19条の4に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医(以下「指定医」という。)に指定する。

1.5年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。

2.3年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。

3.厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。

4.厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令に定めるところにより行う研修(申請前1年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。

 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、第19条の2第1項又は第2項の規定により指定医の指定を取り消された後5年を経過していない者その他指定医として著しく不適当と認められる者については、前項の指定をしないことができる。

 厚生労働大臣は、第1項第3号に規定する精神障害及びその診断又は治療に従事した経験の程度を定めようとするとき、同項の規定により指定医の指定をしようとするとき又は前項の規定により指定医の指定をしないものとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

第19条 指定医は、5の年度(毎年4月1日から翌年3月31日までをいう。以下この条において同じ。)ごとに厚生労働大臣が定める年度において、厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を受けなければならない。

 前条第1項の規定による指定は、当該指定を受けた者が前項に規定する研修を受けなかつたときは、当該研修を受けるべき年度の終了の日にその効力を失う。ただし、当該研修を受けなかったことにつき厚生労働省令で定めるやむを得ない理由が存すると厚生労働大臣が認めたときは、この限りでない。

第19条の2 指定医がその医師免許を取り消され、又は期間を定めて医業の停止を命ぜられたときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消さなければならない。

 指定医がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき又はその職務に関し著しく不当な行為を行つたときその他指定医として著しく不適当と認められるときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消し、又は期間を定めてその職務の停止を命ずることができる。

 厚生労働大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

 都道府県知事は、指定医について第2項に該当すると思料するときは、その旨を厚生労働大臣に通知することができる。

第19条の4 指定医は、第22条の4第3項及び第29条の5の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定、第33条第1項及び第33条の4第1項の規定による入院を必要とするかどうか及び第22条の3の規定による入院が行われる状態にないかどうかの判定、第36条第3項に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定、第38条の2第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)に規定する報告事項に係る入院中の者の診察並びに第40条の規定により一時退院させて経過を見ることが適当かどうかの判定の職務を行う。

 指定医は、前項に規定する職務のほか、公務員として、次に掲げる職務を行う。

1.第29条第1項及び第29条の2第1項の規定による入院を必要とするかどうかの判定
2.第29条の2の2第3項(第34条第4項において準用する場合を含む。)に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定
3.第29条の4第2項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定
4.第34条第1項及び第3項の規定による移送を必要とするかどうかの判定
5.第38条の3第3項(同条第6項において準用する場合を含む。)及び第38条の5第4項の規定による診察
6.第38条の6第1項の規定による立入検査、質問及び診察
7.第38条の7第2項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定

 指定医は、その勤務する医療施設の業務に支障がある場合その他やむを得ない理由がある場合を除き、前項各号に掲げる職務を行うよう都道府県知事から求めがあつた場合には、これに応じなければならない。

第19条の4の2  指定医は、前条第1項に規定する職務を行つたときは、遅滞なく、当該指定医の氏名その他厚生労働省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。

第19条の5 第29条第1項、第29条の2第1項、第33条第1項、第2項若しくは第4項又は第33条の4第1項若しくは第2項の規定により精神障害者を入院させている精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。第19条の10を除き、以下同じ。)の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、その精神科病院に常時勤務する指定医(第19条の2第2項の規定によりその職務を停止されている者を除く。第53条第1項を除き、以下同じ。)を置かなければならない。
第19条の6 この法律に規定するもののほか、指定医の指定に関して必要な事項は政令で、第18条第1項第4号及び第19条第1項の規定による研修に関して必要な事項は厚生労働省令で定める。

第2節 登録研修機関

第19条の6の2 第18条第1項第4号又は第19条第1項の登録(以下この節において「登録」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第18条第1項第4号又は第19条第1項の研修(以下この節において「研修」という。)を行おうとする者の申請により行う。

第19条の6の3 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

1.この法律若しくはこの法律に基づく命令又は障害者自立支援法若しくは同法に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から2年を経過しない者

2.第19条の6の13の規定により登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者

3.法人であつて、その業務を行う役員のうちに前2号のいずれかに該当する者があるもの

第19条の6の4 厚生労働大臣は、第19条の6の2の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。

1.別表の第1欄に掲げる科目を教授し、その時間数が同表の第3欄又は第4欄に掲げる時間数以上であること。

2.別表の第2欄で定める条件に適合する学識経験を有する者が前号に規定する科目を教授するものであること。

 登録は、研修機関登録簿に登録を受ける者の氏名又は名称、住所、登録の年月日及び登録番号を記載してするものとする。

第19条の6の5 登録は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

 前3条の規定は、前項の登録の更新について準用する。

第19条の6の6 登録を受けた者(以下「登録研修機関」という。)は、正当な理由がある場合を除き、毎事業年度、研修の実施に関する計画(以下「研修計画」という。)を作成し、研修計画に従つて研修を行わなければならない。

 登録研修機関は、公正に、かつ、第18条第1項第4号又は第19条第1項の厚生労働省令で定めるところにより研修を行わなければならない。

 登録研修機関は、毎事業年度の開始前に、第1項の規定により作成した研修計画を厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第19条の6の7 登録研修機関は、その氏名若しくは名称又は住所を変更しようとするときは、変更しようとする日の2週間前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

第19条の6の8 登録研修機関は、研修の業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、研修の業務の開始前に、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 業務規程には、研修の実施方法、研修に関する料金その他の厚生労働省令で定める事項を定めておかなければならない。

第19条の6の9 登録研修機関は、研修の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

第19条の6の10 登録研修機関は、毎事業年度経過後3月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第57条において「財務諸表等」という。)を作成し、5年間事務所に備えて置かなければならない。

 研修を受けようとする者その他の利害関係人は、登録研修機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号の請求をするには、登録研修機関の定めた費用を支払わなければならない。

1.財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

2.前号の書面の謄本又は抄本の請求

3.財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

4.前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求


生理的なショック
第19条の6の11 厚生労働大臣は、登録研修機関が第19条の6の4第1項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その登録研修機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第19条の6の12 厚生労働大臣は、登録研修機関が第19条の6の6第1項又は第2項の規定に違反していると認めるときは、その登録研修機関に対し、研修を行うべきこと又は研修の実施方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

第19条の6の13 厚生労働大臣は、登録研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて研修の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

3.正当な理由がないのに第19条の6の10第2項各号の規定による請求を拒んだとき。

5.不正の手段により登録を受けたとき。

第19条の6の14 登録研修機関は、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、研修に関し厚生労働省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

第19条の6の15 厚生労働大臣は、登録を受ける者がいないとき、第19条の6の9の規定による研修の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があつたとき、第19条の6の13の規定により登録を取り消し、又は登録研修機関に対し研修の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録研修機関が天災その他の事由により研修の業務の全部又は一部を実施することが困難となつたときその他必要があると認めるときは、当該研修の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。

 前項の規定により厚生労働大臣が行う研修を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める金額の手数料を納付しなければならない。

 厚生労働大臣が第1項の規定により研修の業務の全部又は一部を自ら行う場合における研修の業務の引継ぎその他の必要な事項については、厚生労働省令で定める。

第19条の6の16 厚生労働大臣は、研修の業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、登録研修機関に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 前項の規定により立入検査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第19条の6の17 厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を公示しなければならない。

1.登録をしたとき。

4.第19条の6の13の規定により登録を取り消し、又は研修の業務の停止を命じたとき。
5.第19条の6の15の規定により厚生労働大臣が研修の業務の全部若しくは一部を自ら行うものとするとき、又は自ら行つていた研修の業務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。

第3節 精神科病院

第19条の7 都道府県は、精神科病院を設定しなければならない。ただし、次条の規定による指定病院がある場合においては、その設置を延期することができる。

 都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。次条において同じ。)が精神科病院を設置している場合には、当該都道府県については、前項の規定は、適用しない。

第19条の8 都道府県知事は、国、都道府県並びに都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(以下「国等」という。)以外の者が設置した精神科病院であつて厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部を、その設置者の同意を得て、都道府県が設置する精神科病院に代わる施設(以下「指定病院」という。)として指定することができる。

第19条の9 都道府県知事は、指定病院が、前条の基準に適合しなくなつたとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができる。

 都道府県知事は、前項の規定によりその指定を取り消そうとするときは、あらかじめ、地方精神保健福祉審議会(地方精神保健福祉審議会が置かれていない都道府県にあつては、医療法(昭和23年法律第205号)第71条の2第1項に規定する都道府県医療審議会)の意見を聴かなければならない。

 厚生労働大臣は、第1項に規定する都道府県知事の権限に属する事務について、指定病院に入院中の者の処遇を確保する緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し同項の事務を行うことを指示することができる。

第19条の10 国は、都道府県が設置する精神科病院及び精神科病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運常に要する経費(第30条第1項の規定により都道府県か負担する費用を除く。次項において同じ。)に対し、政令の定めるところにより、その2分の1を補助する。

 国は、営利を目的としない法人が設置する精神科病院及び精神科病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運営に要する経費に対し、政令の定めるところにより、その2分の1以内を補助することができる。

第4節 精神科救急医療の確保

第19条の11 都道府県は、精神障害の救急医療が適切かつ効率的に提供されるように、夜間又は休日において精神障害の医療を必要とする精神障害者又はその家族等からの相談に応ずること、精神障害の救急医療を提供する医療施設相互間の連携を確保することその他の地域の実情に応じた体制の整備を図るよう努めるものとする。

 都道府県知事は、前項の体制の整備に当たつては、精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者、当該施設の指定医その他の関係者に対し、必要な協力を求めることができる。

第1節 保護者

第20条 精神障害者については、その後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者が保護者となる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は保護者とならない。

1.行方の知れない者

2.当該精神障害者に対して訴訟をしている者、又はした者並びにその配偶者及び直系血族

3.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人

4.破産者

5.成年被後見人又は被保佐人

6.未成年者

 保護者が数人ある場合において、その義務を行うべき順位は、次のとおりとする。ただし、本人の保護のため特に必要があると認める場合には、後見人又は保佐人以外の者について家庭裁判所は利害関係人の申立てによりその順位を変更することができる。

1.後見人又は保佐人

2.配偶者

3.親権を行う者

4.前2号の者以外の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任した者

 前項ただし書の規定による順位の変更及び同項第4号の規定による選任は家事審判法(昭和22年法律第152号)の適用については、同法第9条第1項甲類に掲げる事項とみなす。

第21条 前条第2項各号の保護者がないとき又はこれらの保護者がその義務を行うことができないときはその精神障害者の居住地を管轄する市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)、居住地がないか又は明らかでないときはその精神障害者の現在地を管轄する市町村長が保護者となる。

第22条 保護者は、精神障害者(第22条の4第2項に規定する任意入院者及び病院又は診療所に入院しないで行われる精神障害の医療を継続して受けている者を除く。以下この項及び第3項において同じ。)に治療を受けさせ、及び精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。

 保護者は、精神障害者の診断が正しく行われるよう医師に協力しなければならない。

 保護者は、精神障害者に医療を受けさせるに当たつては、医師の指示に従わなければならない。

第22条の2 保護者は、第41条の規定による義務(第29条の3又は第29条の4第1項の規定により退院する者の引取りに係るものに限る。)を行うに当たり必要があるときは、当該精神科病院若しくは指定病院の管理者又は当該精神科病院若しくは指定病院と関連する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業若しくは障害者自立支援法第5条第17項に規定する特定相談支援事業(第49条第1項において「特定相談支援事業」という。)を行う者に対し、当該精神障害者の社会復帰の促進に関し、相談し、及び必要な援助を求めることができる。

第2節 任意入院

第22条の3 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。

第22条の4 精神障害者が自ら入院する場合においては、精神科病院の管理者は、その入院に際し、当該精神障害者に対して第38条の4の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせ、当該精神障害者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。

 精神科病院の管理者は、自ら入院した精神障害者(以下「任意入院者」という。)から退院の申出があつた場合においては、その者を退院させなければならない。

 前項に規定する場合において、精神科病院の管理者は、指定医による診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、同項の規定にかかわらず、72時間を限り、その者を退院させないことができる。

 前項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて指定医以外の医師(医師法(昭和23年法律第201号)第16条の4第1項の規定による登録を受けていることその他厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。以下「特定医師」という。)に任意入院者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、前2項の規定にかかわらず、12時間を限り、その者を退院させないことができる。
 第19条の4の2の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第1項」とあるのは「第22条の4第4項に規定する特定医師は、同項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

 精神科病院の管理者は、第4項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

 精神科病院の管理者は、第3項又は第4項後段の規定による措置を採る場合においては、当該任意入院者に対し、当該措置を採る旨、第38条の4の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

第3節 指定医の診察及び措置入院

第23条 精神障害者又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。

 前項の申請をするには、左の事項を記載した申請書をもよりの保健所長を経て都道府県知事に提出しなければならない。

1.申請者の住所、氏名及び生年月日

2.本人の現在場所、居住地、氏名、性別及び生年月日

3.症状の概要

4.現に本人の保護の任に当つている者があるときはその者の住所及び氏名

第24条 警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

第25条 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役、禁錮又は拘留の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判を除く。)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第33条第1項の申立てをしたときは、この限りでない。
 検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者若しくはその疑いのある被疑者若しくは被告人又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第2条第3項に規定する対象者をいう。第26条の3及び第44条第1項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。

第25条の2 保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いのある者であることを知つたときは、すみやかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。

第26条 矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の長は、精神障害者又はその疑のある収容者を釈放、退院又は退所させようとするときは、あらかじめ、左の事項を本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に通報しなければならない。

1.本人の帰住地、氏名、性別及び生年月日

2.症状の概要

3.釈放、退院又は退所の年月日

4.引取人の住所及び氏名

第26条の2 精神科病院の管理者は、入院中の精神障害者であつて、第29条第1項の要件に該当すると認められるものから退院の申出があつたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第26条の3 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第2条第6項に規定する指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第5項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

第27条 都道府県知事は、第23条から前条までの規定による申請、通報又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。
 都道府県知事は、入院させなければ精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあることが明らかである者については、第23条から前条までの規定による申請、通報又は届出がない場合においても、その指定する指定医をして診察をさせることができる。

 都道府県知事は、前2項の規定により診察をさせる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。

 指定医及び前項の当該職員は、前3項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。

 第19条の6の16第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。この場合において、同条第2項中「前項」とあるのは「第27条第4項」と、「当該職員」とあるのは「指定医及び当該職員」と、同条第3項中「第1項」とあるのは「第27条第4項」と読み替えるものとする。

 

第28条 都道府県知事は、前条第1項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時及び場所をその者に通知しなければならない。

 後見人又は保佐人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第1項の診察に立ち会うことができる。


の定義は、体重、中性および過体重
第28条の2 第27条第1項又は第2項の規定により診察をした指定医は、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該診察をした者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を行わなければならない。

 

第29条 都道府県知事は、第27条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。

 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する2人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。

 都道府県知事は、第1項の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第38条の4の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。
 国等の設置した精神科病院及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第19条の8の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第1項又は次条第1項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第1項の精神障害者を入院させなければならない。
第29条の2 都道府県知事は、前条第1項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、第27条、第28条及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第1項に規定する精神科病院又は指定病院に入院させることができる。

 都道府県知事は、前項の措置をとつたときは、すみやかに、その者につき、前条第1項の規定による入院措置をとるかどうかを決定しなければならない。

 第1項の規定による入院の期間は、72時間を超えることができない。

 第27条第4項及び第5項並びに第28条の2の規定は第1項の規定による診察について、前条第3項の規定は第1項の規定による措置を採る場合について、同条第4項の規定は第1項の規定により入院する者の入院について準用する。
第29条の2の2 都道府県知事は、第29条第1項又は前条第1項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。

 都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

 都道府県知事は、第1項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療又は保護に欠くことのできない限度において、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限を行うことができる。

第29条の3 第29条第1項に規定する精神科病院又は指定病院の管理者は、第29条の2第1項の規定により入院した者について、都道府県知事から、第29条第1項の規定による入院措置を採らない旨の通知を受けたとき、又は第29条の2第3項の期間内に第29条第1項の規定による入院措置を採る旨の通知がないときは、直ちに、その者を退院させなければならない。
第29条の4 都道府県知事は、第29条第1項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。

 前項の場合において都道府県知事がその者を退院させるには、その者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められることについて、その指定する指定医による診察の結果又は次条の規定による診察の結果に基づく場合でなければならない。

第29条の5 措置入院者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第29条の6 第29条第1項及び第29条の2第1項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院又は指定病院が行う医療に関する診療方針及びその医療に要する費用の額の算定方法は、健康保険の診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例による。

 前項に規定する診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び医療に要する費用の額の算定方法は、厚生労働大臣の定めるところによる。

第29条の7 都道府県は、第29条第1項及び第29条の2第1項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院又は指定病院が行つた医療が前条に規定する診療方針に適合するかどうかについての審査及びその医療に要する費用の額の算定並びに国等又は指定病院の設置者に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。
第30条 第29条第1項及び第29条の2第1項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。

 国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その4分の3を負担する。

第30条の2 前条第1項の規定により費用の負担を受ける精神障害者が、健康保険法(大正11年法律第70号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)又は介護保険法(平成9年法律第123号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

第31条 都道府県知事は、第29条第1項及び第29条の2第1項の規定により入院させた精神障害者又はその扶養義務者が入院に要する費用を負担することができると認めたときは、その費用の全部又は一部を徴収することができる。

 

 

第4節 医療保護入院等

第33条 精神科病院の管理者は、次に掲げる者について、保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。

1.指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの
2.第34条第1項の規定により移送された者
 精神科病院の管理者は、前項第1号に規定する者の保護者について第20条第2項第4号の規定による家庭裁判所の選任を要し、かつ、当該選任がされていない場合又は第34条第2項の規定により移送された場合において、前項第1号に規定する者又は同条第2項の規定により移送された者の扶養義務者の同意があるときは、本人の同意がなくても、当該選任がされるまでの間、4週間を限り、その者を入院させることができる。
 前項の規定による入院が行われている間は、同項の同意をした扶養義務者は、第20条第2項第4号に掲げる者に該当するものとみなし、第1項の規定を適用する場合を除き、同条に規定する保護者とみなす。
 第1項又は第2項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、第1項又は第2項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、12時間を限り、その者を入院させることができる。
 第19条の4の2の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第1項」とあるのは「第22条の4第4項に規定する特定医師は、第33条第4項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

 精神科病院の管理者は、第4項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

 精神科病院の管理者は、第1項、第2項又は第4項後段の規定による措置を採つたときは、10日以内に、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を当該入院について同意をした者の同意書を添え、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第33条の2 精神科病院の管理者は、前条第1項の規定により入院した者(以下「医療保護入院者」という。)を退院させたときは、10日以内に、その旨及び厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第33条の3 精神科病院の管理者は、第33条第1項、第2項又は第4項後段の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第38条の4の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。ただし、当該入院措置を採つた日から4週間を経過する日までの間であつて、当該精神障害者の症状に照らし、その者の医療及び保護を図る上で支障があると認められる間においては、この限りでない。この場合において、精神科病院の管理者は、遅滞なく、厚生労働省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。
第33条の4 厚生労働大臣の定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定する精神科病院の管理者は、医療及び保護の依頼があつた者について、急速を要し、保護者(第33条第2項に規定する場合にあつては、その者の扶養義務者)の同意を得ることができない場合において、その者が、次に該当する者であるときは、本人の同意がなくても、72時間を限り、その者を入院させることができる。

1.指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの

2.第34条第3項の規定により移送された者
 前項に規定する場合において、同項に規定する精神科病院の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に同項の医療及び保護の依頼があつた者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、その者が、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、同項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、12時間を限り、その者を入院させることができる。
 第19条の4の2の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第1項」とあるのは「第22条の4第4項に規定する特定医師は、第33条の4第2項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

 第1項に規定する精神科病院の管理者は、第2項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

 第1項に規定する精神科病院の管理者は、同項又は第2項後段の規定による措置を採つたときは、直ちに、当該措置を採つた理由その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

 都道府県知事は、第1項の指定を受けた精神科病院が同項の基準に適合しなくなつたと認めたときは、その指定を取り消すことができる。

 厚生労働大臣は、前項に規定する都道府県知事の権限に属する事務について、第1項の指定を受けた精神科病院に入院中の者の処遇を確保する緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し前項の事務を行うことを指示することができる。

第33条の5 第19条の9第2項の規定は前条第6項の規定による処分をする場合について、第29条第3項の規定は精神科病院の管理者が前条第1項又は第2項後段の規定による措置を採る場合について準用する。
第34条 都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたものにつき、保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第33条第1項の規定による入院をさせるため第33条の4第1項に規定する精神科病院に移送することができる。
 都道府県知事は、前項に規定する者の保護者について第20条第2項第4号の規定による家庭裁判所の選任を要し、かつ、当該選任がされていない場合において、その者の扶養義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第33条第2項の規定による入院をさせるため第33条の4第1項に規定する精神科病院に移送することができる。
 都道府県知事は、急速を要し、保護者(前項に規定する場合にあつては、その者の扶養義務者)の同意を得ることができない場合において、その指定する指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第22条の3の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、本人の同意がなくてもその者を第33条の4第1項の規定による入院をさせるため同項に規定する精神科病院に移送することができる。
 第29条の2の2第2項及び第3項の規定は、前3項の規定による移送を行う場合について準用する。

 

第5節 精神科病院における処遇等

第36条 精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。

 精神科病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。

 第1項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。


"口臭"フェチ

第37条 厚生労働大臣は、前条に定めるもののほか、精神科病院に入院中の者の処遇について必要な基準を定めることができる。

 前項の基準が定められたときは、精神科病院の管理者は、その基準を遵守しなければならない。

 厚生労働大臣は、第1項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。

第37条の2 指定医は、その勤務する精神科病院に入院中の者の処遇が第36条の規定に違反していると思料するとき又は前条第1項の基準に適合していないと認めるときその他精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神科病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならない。

第38条 精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者は、当該施設において医療を受ける精神障害者の社会復帰の促進を図るため、当該施設の医師、看護師その他の医療従事者による有機的な連携の確保に配慮しつつ、その者の相談に応じ、必要に応じて一般相談支援事業を行う者と連携を図りながら、その者に必要な援助を行い、及びその保護者等との連絡調整を行うように努めなければならない。

第38条の2 措置入院者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者は、措置入院者の症状その他厚生労働省令で定める事項(以下この項において「報告事項」という。)を、厚生労働省令で定めるところにより、定期に、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に報告しなければならない。この場合においては、報告事項のうち厚生労働省令で定める事項については、指定医による診察の結果に基づくものでなければならない。

 前項の規定は、医療保護入院者を入院させている精神科病院の管理者について準用する。この場合において、同項中「措置入院者」とあるのは、「医療保護入院者」と読み替えるものとする。

 都道府県知事は、条例で定めるところにより、精神科病院の管理者(第38条の7第1項、第2項又は第4項の規定による命令を受けた者であつて、当該命令を受けた日から起算して厚生労働省令で定める期間を経過しないものその他これに準ずる者として厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、当該精神科病院に入院中の任意入院者(厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)の症状その他厚生労働省令で定める事項について報告を求めることができる。

第38条の3 都道府県知事は、前条第1項若しくは第2項の規定による報告又は第33条第7項の規定による届出(同条第1項の規定による措置に係るものに限る。)があつたときは、当該報告又は届出に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めなければならない。

 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者に対して意見を求め、若しくはその者の同意を得て委員(指定医である者に限る。第38条の5第4項において同じ。)に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者その他関係者に対して報告若しくは意見を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

 都道府県知事は、第2項の規定により通知された精神医療審議会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じなければならない。

 都道府県知事は、第1項に定めるもののほか、前条第3項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めることができる。

 第2項及び第3項の規定は、前項の規定により都道府県知事が審査を求めた場合について準用する。

第38条の4 精神科病院に入院中の者又はその保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該入院中の者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。

第38条の5 都道府県知事は、前条の規定による請求を受けたときは、当該請求の内容を精神医療審査会に通知し、当該請求に係る入院中の者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を求めなければならない。

 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつては、当該審査に係る前条の規定による請求をした者及び当該審査に係る入院中の者が入院している精神科病院の管理者の意見を聴かなければならない。ただし、精神医療審査会がこれらの者の意見を聴く必要がないと特に認めたときは、この限りでない。

 精神医療審査会は、前項に定めるもののほか、第2項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させ、又はその者が入院している精神科病院の管理者その他関係者に対して報告を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

 都道府県知事は、第2項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は当該精神科病院の管理者に対しその者を退院させることを命じ若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じなければならない。

 都道府県知事は、前条の規定による請求をした者に対し、当該請求に係る精神医療審査会の審査の結果及びこれに基づき採つた措置を通知しなければならない。

第38条の6 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者に対し、当該精神科病院に入院中の者の症状若しくは処遇に関し、報告を求め、若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、当該職員若しくはその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、これらの事項に関し(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神科病院に入院中の者その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、当該精神科病院に入院中の者を診察させることができる。

 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者、精神科病院に入院中の者又は第33条第1項、第2項若しくは第4項の規定による入院について同意をした者に対し、この法律による入院に必要な手続に関し、報告を求め、又は帳簿書類の提出若しくは提示を命じることができる。
 第19条の6の16第2項及び第3項の規定は、第1項の規定による立入検査、質問又は診察について準用する。この場合において、同条第2項中「前項」とあるのは「第38条の6第1項」と、「当該職員」とあるのは「当該職員及び指定医」と、同条第3項中「第1項」とあるのは「第38条の6第1項」と読み替えるものとする。
第38条の7 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神科病院に入院中の者の処遇が第36条の規定に違反していると認めるとき又は第37条第1項の基準に適合していないと認めるときその他精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることができる。
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第22条の4第3項の規定により入院している者又は第33条第1項、第2項若しくは第4項若しくは第33条の4第1項若しくは第2項の規定により入院した者について、その指定する2人以上の指定医に診察させ、各指定医の診察の結果がその入院を継続する必要があることに一致しない場合又はこれらの者の入院がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反して行われた場合には、これらの者が入院している精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命ずることができる。

 都道府県知事は、前2項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神科病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神科病院の管理者が第1項又は第2項の規定による命令に従わないときは、当該精神科病院の管理者に対し、期間を定めて第22条の4第1項、第33条第1項、第2項及び第4項並びに第33条の4第1項及び第2項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部又は一部を制限することを命ずることができる。

 都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

第39条 精神科病院の管理者は、入院中の者で自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのあるものが無断で退去しその行方が不明になつたときは、所轄の警察署長に次の事項を通知してその探索を求めなければならない。

1.退去者の住所、氏名、性別及び生年月日

2.退去の年月日及び時刻

3.症状の概要

4.退去者を発見するために参考となるべき人相、服装その他の事項

5.入院年月日

6.保護者又はこれに準ずる者の住所及び氏名

 警察官は、前項の探索を求められた者を発見したときは、直ちに、その旨を当該精神科病院の管理者に通知しなければならない。この場合において、警察官は、当該精神科病院の管理者がその者を引き取るまでの間、24時間を限り、その者を、警察署、病院、救護施設等の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。

第40条 第29条第1項に規定する精神科病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者の症状に照らしその者を一時退院させて経過を見ることが適当であると認めるときは、都道府県知事の許可を得て、6月を超えない期間を限り仮に退院させることができる。

第6節 雑 則

第41条 保護者は、第29条の3若しくは第29条の4第1項の規定により退院する者又は前条の規定により仮退院する者を引き取り、かつ、仮退院した者の保護に当たつては当該精神科病院又は指定病院の管理者の指示に従わなければならない。

第42条 保護者が精神障害者の医療及び保護のために支出する費用は、当該精神障害者又はその扶養義務者が負担する。

第43条 この章の規定は、精神障害者又はその疑いのある者について、刑事事件若しくは少年の保護事件の処理に関する法令の規定による手続を行ない、又は刑若しくは補導処分若しくは保護処分の執行のためこれらの者を矯正施設に収容することを妨げるものではない。

 第25条、第26条及び第27条の規定を除く外、この章の規定は矯正施設に収容中の者には適用しない。

第44条 この章の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者について、同法又は同法に基づく命令の規定による手続又は処分をすることを妨げるものではない。

 この章第2節から前節までの規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第34条第1項前段若しくは第60条第1項前段の命令若しくは第37条第5項前段若しくは第62条第2項前段の決定により入院している者又は同法第42条第1項第1号若しくは第61条第1項第1号の決定により指定入院医療機関に入院している者については、適用しない。

第1節 精神障害者保健福祉手帳

第45条 精神障害者(知的障害者を除く。以下この章及び次章において同じ。)は、厚生労働省令で定める書類を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に精神障害者保健福祉手帳の交付を申請することができる。

 都道府県知事は、前項の申請に基づいて審査し、申請者が政令で定める精神障害の状態にあると認めたときは、申請者に精神障害者保健福祉手帳を交付しなければならない。

 前項の規定による審査の結果、申請者が同項の政令で定める精神障害の状態にないと認めたときは、都道府県知事は、理由を付して、その者を申請者に通知しなければならない。

 

 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、2年ごとに、第2項の政令で定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。

 第3項の規定は、前項の認定について準用する。

 前各項に定めるもののほか、精神障害者保健福祉手帳に関し必要な事項は、政令で定める。

第45条の2 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、前条第2項の政令で定める精神障害の状態がなくなつたときは、速やかに精神障害者保健福祉手帳を都道府県に返還しなければならない。

 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、精神障害者保健福祉手帳を譲渡し、又は貸与してはならない。

 都道府県知事は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者について、前条第2項の政令で定める状態がなくなつたと認めるときは、その者に対し精神障害者保健福祉手帳の返還を命ずることができる。

 都道府県知事は、前項の規定により、精神障害者保健福祉手帳の返還を命じようとするときは、あらかじめその指定する指定医をして診察させなければならない。

 前条第3項の規定は、第3項の認定について準用する。

第2節 相談指導等

第46条 都道府県及び市町村は、精神障害についての正しい知識の普及のための広報活動等を通じて、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住民の関心と理解を深めるように努めなければならない。

第47条 都道府県、保健所を設置する市又は特別区(以下「都道府県等」という。)は、必要に応じて、次条第1項に規定する精神保健福祉相談員その他の職員又は都道府県知事若しくは保健所を設置する市若しくは特別区の長(以下「都道府県知事等」という。)が指定した医師をして、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じさせ、及びこれらの者を指導させなければならない。

 都道府県等は、必要に応じて、医療を必要とする精神障害者に対し、その精神障害の状態に応じた適切な医療施設を紹介しなければならない。

 

 市町村(保健所を設置する市及び特別区を除く。次項において同じ。)は、前2項の規定により都道府県が行う精神障害者に関する事務に必要な協力をするとともに、必要に応じて、精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、及びこれらの者を指導しなければならない。

 市町村は、前項に定めるもののほか、必要に応じて、精神保健に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、及びこれらの者を指導するように努めなければならない。


 市町村、精神保健福祉センター及び保健所は、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、又はこれらの者へ指導を行うに当たつては、相互に、及び福祉事務所(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める福祉に関する事務所をいう。)その他の関係行政機関と密接な連携を図るよう努めなければならない。

第48条 都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター及び保健所その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員(次項において「精神保健福祉相談員」という。)を置くことができる。

 精神保健福祉相談員は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。

第49条 市町村長は、精神障害者から求めがあつたときは、当該精神障害者の希望、精神障害の状態、社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な指導及び訓練その他の扶助の内容等を勘案し、当該精神障害者が最も適切な障害福祉サービス事業の利用ができるよう、相談に応じ、必要な助言を行うものとする。この場合において、市町村長は、当該事務を一般相談支援事業又は特定相談支援事業を行う者に委託することができる。

 市町村長は、前項の助言を受けた精神障害者から求めがあつた場合には、必要に応じて、障害福祉サービス事業の利用についてあつせん又は調整を行うとともに、必要に応じて、障害福祉サービス事業を行う者に対し、当該精神障害者の利用についての要請を行うものとする。

 都道府県は、前項の規定により市町村が行うあつせん、調整及び要請に関し、その設置する保健所による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助及び市町村相互間の連絡調整を行う。

 障害福祉サービス事業を行う者は、第2項のあつせん、調整及び要請に対し、できる限り協力しなければならない。

 

 

第50条及び第51条 削除

第51条の2 厚生労働大臣は、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと等により精神障害者の社会復帰を促進することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、精神障害者社会復帰促進センター(以下「センター」という。)として指定することができる。

 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

 センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

第51条の3 センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

1.精神障害者の社会復帰の促進に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。

2.精神障害者の社会復帰の実例に即して、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと。

3.前号に掲げるもののほか、精神障害者の社会復帰の促進に関する研究を行うこと。

4.精神障害者の社会復帰の促進を図るため、第2号の規定による研究開発の成果又は前号の規定による研究の成果を、定期的に又は時宜に応じて提供すること。

5.精神障害者の社会復帰の促進を図るための事業の業務に関し、当該事業に従事する者及び当該事業に従事しようとする者に対して研修を行うこと。

6.前各号に掲げるもののほか、精神障害者の社会復帰を促進するために必要な業務を行うこと。

第51条の4 精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の設置者及び障害福祉サービス事業を行う者は、センターの求めに応じ、センターが前条第2号及び第3号に掲げる業務を行うために必要な限度において、センターに対し、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導に関する情報又は資料その他の必要な情報又は資料で厚生労働省令で定めるものを提供することができる。

第51条の5 センターは、第51条の3第2号及び第3号に掲げる業務に係る情報及び資料(以下この条及び第51条の7において「特定情報」という。)の管理並びに使用に関する規程(以下この条及び第51条の7において「特定情報管理規程」という。)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 厚生労働大臣は、前項の認可をした特定情報管理規程が特定情報の適正な管理又は使用を図る上で不適当となつたと認めるときは、センターに対し、当該特定情報管理規程を変更すべきことを命ずることができる。

 特定情報管理規程に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。

第51条の6 センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、第51条の3第2号又は第3号に掲げる業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第51条の7 厚生労働大臣は、センターの役員又は職員が第51条の5第1項の認可を受けた特定情報管理規程によらないで特定情報の管理若しくは使用を行つたとき、又は前条の規定に違反したときは、センターに対し、当該役員又は職員を解任すべきことを命ずることができる。

第51条の8 センターは、毎事業年度の事業計画書及び収支予算書を作成し、当該事業年度の開始前に厚生労働大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 センターは、毎事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度経過後3月以内に厚生労働大臣に提出しなければならない。

第51条の9 厚生労働大臣は、第51条の3に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、センターに対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 第19条の6の16第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第2項中「前項」とあるのは「第51条の9第1項」と、同条第3項中「第1項」とあるのは「第51条の9第1項」と読み替えるものとする。
第51条の10 厚生労働大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、センターに対し、第51条の3に規定する業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
第51条の11 厚生労働大臣は、センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第51条の2第1項の規定による指定を取り消すことができる。
1.第51条の3に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

2.指定に関し不正な行為があつたとき。

3.この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。

 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

第51条の11の2 市町村長は、精神障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法(明治29年法律第89号)第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、第17条第1項、第876条の4第1項又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をすることができる。
第51条の12 この法律の規定中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市が処理するものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県に関する規定は、指定都市に関する規定として指定都市に適用があるものとする。
 前項の規定により指定都市の長がした処分(地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務に係るものに限る。)に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対し再審査請求をすることができる。

 

第51条の13 この法律(第1章から第3章まで、第19条の2第4項、第19条の7、第19条の8、第19条の9第1項、同条第2項(第33条の5において準用する場合を含む。)、第19条の11、第29条の7、第30条第1項及び第31条、第33条の4第1項及び第6項並びに第6章を除く。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務(次項及び第3項において「第1号法定受託事務」という。)とする。
 この法律(第32条第3項及び第6章第2節を除く。)の規定により保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務(保健所長に係るものに限る。)は、第1号法定受託事務とする。
 第21条の規定により市町村が処理することとされている事務は、第1号法定受託事務とする。

第51条の14 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

第51条の15 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第52条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

2.第38条の5第5項の規定による退院の命令に違反した者
第53条 精神科病院の管理者、指定医、地方精神保健福祉審議会の委員、精神医療審査会の委員、第22条の4第4項、第33条第4項若しくは第33条の4第2項の規定により診察を行つた特定医師若しくは第47条第1項の規定により都道府県知事等が指定した医師又はこれらの職にあつた者が、この法律の規定に基づく職務の執行に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 精神科病院の職員又はその場にあつた者が、この法律の規定に基づく精神科病院の管理者の職務の執行を補助するに際して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏したときも、前項と同様とする。

第53条の2 第51条の6の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

第54条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2.虚偽の事突を記載して第23条第1項の申請をした者

第55条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

1.第19条の6の16第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
2.第27条第1項又は第2項の規定による診察を拒み、妨げ、若しくは忌避した者又は同条第4項の規定による立入りを拒み、若しくは妨げた者
3.第29条の2第1項の規定による診察を拒み、妨げ、若しくは忌避した者又は同条第4項において準用する第27条第4項の規定による立入りを拒み、若しくは妨げた者
4.第38条の3第3項(同条第6項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同条第3項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
5.第38条の5第4項の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
6.第38条の6第1項の規定による報告若しくは提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による検査若しくは診察を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
7.第38条の6第2項の規定による報告若しくは提出若しくは提示をせず、又は虚偽の報告をした精神科病院の管理者
8.第51条の9第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第56条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第52条、第54条第1号又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第57条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の過料に処する。

1.第19条の4の2(第22条の4第5項、第33条第5項及び第33条の4第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
3.第19条の6の10第1項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第2項各号の規定による請求を拒んだ者
4.第19条の6の14の規定に違反して同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
6.第33条第7項の規定に違反した者
8.第38条の2第1項又は同条第2項において準用する同条第1項の規程に違反した者

 この法律は、公布の日から施行する。

 精神病者監護法(明治33年法律第38号)及び精神病院法(大正8年法律第25号)は廃止する。但し、この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 



科目教授する者第18条第1項第4号に規定する研修の課程の時間数第19条第1項に規定する研修の課程の時間数
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び障害者自立支援法並びに精神保健福祉行政概論この法律及び障害者自立支援法並びに精神保健福祉行政に関し学識経験を有する者であること。8時間3時間
精神障害者の医療に関する法令及び実務精神障害者の医療に関し学識経験を有する者として精神医療審査会の委員に任命されている者若しくはその職にあつた者又はこれらの者と同等以上の学識経験を有する者であること。
精神障害者の人権に関する法令法律に関し学識経験を有する者として精神医療審査会の委員に任命されている者若しくはその職にあつた者又はこれらの者と同等以上の学識経験を有する者であること。
精神医学学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において精神医学の教授若しくは准教授の職にある者若しくはこれらの職にあつた者又はこれらの者と同等以上の学識経験を有する者であること。4時間 
精神障害者の社会復帰及び精神障害者福祉精神障害者の社会復帰及び精神障害者福祉に関し学識経験を有する者であること。2時間1時間
精神障害者の医療に関する事例研究次に掲げる者が共同して教授すること。

1.指定医として10年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有する者

2.法律に関し学識経験を有する者として精神医療審査会の委員に任命されている者若しくはその職にあつた者又はこれらの者と同等以上の学識経験を有する者

3.この法律及び精神保健福祉行政に関し学識経験を有する者

4時間3時間
備考 第1欄に掲げる精神障害者の医療に関する事例研究は、最新の事例を用いて教授すること。

 



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